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ジョン・ベッチェマン (John Betjeman, 1906-84)


イングランド詩人。1906年8月28日、ロンドンのハイゲイト(Highgate)に生まれる。ベッチェマン家は 数世代にわたって家具を製造していた。ベッチェマンという姓には元々は‘n’が2つ付いていたが(‘Betjemann’)、ドイツ姓だと思われない用心に、第1次世界大戦中にジョン・ベッチェマンは2つ目の‘n’を落として表記した。オックスフォード大学モードリン・カレッジで学び、そこで詩人のオーデ ン(W. H. Auden, 1907-73)やマクニース(Louis MacNeice, 1907-63)と出会う。学位をとらずに退学し、短期間教師として働いた後に、さまざまな分野での文筆活動に入った。1931年には雑誌『建築評論』(Architectural Review)に寄稿し、また初の詩集『シオンの山』(Mount Zion)を出版した。詩集の出版は以後も続き、『滴り続ける露:ブルジョアの詩』(Continual Dew: A Little Book of Bourgeois Verse, 1937)、『古い鐘楼に新しい鐘撞き』(New Bats in Old Belfries, 1945)、大成功をおさめた『選集』(Collected Poems, 1958)、無韻詩による自伝『鐘に呼ばれて』(Summoned by Bells, 1960)などの詩集がある。

 

ベッチェマンの詩は広い人気を博した。彼の詩はウィットに富み、都会的で、辛辣で、軽みがあり、風習喜劇的でもあり、地名や現代風の比喩がふんだんに用いられている。しかし、こういった特色の根底にあるものは、憂い、恐怖、宗教的希望である。ラーキン(Philip Larkin, 1922-85)はベッチマンの詳細な人間観察を次のように賞賛した。「目がくらむようなごちゃごちゃとした作品の中に描かれた様々の矛盾する衝動を貫いて、強くて丈夫な糸が通っている。その糸は、ベッチェマンが全く純粋で何の誇張もなく、人間の魅力に取り憑かれていることを示すものである。」[The Penguin Book of Contemporary Verse, ed. Kenneth Allott (1950; 2nd ed. 1962) 176]  フリードマン (Albert B. Friedman)はThe Ballad Revival: Studies in the Influence of Popular on Sophisticated Poetry (The U of Chicago, 1961)の中で、ベッチェマンを皮肉なバラッドの巨匠と呼んでいる。「ストリート・ソングとロングフェローを矮小化したような狂詩のリズムが何度も繰り返されて、風変わりな面白さが醸し出されている。・・・もちろんこれはトマス・フッドの喜劇的手法である。」(342頁)

 

1969年に騎士に叙せられる。72年に桂冠詩人。84年5月19日死去。 (H. N.)

原詩(英詩) 訳詩
1.The Arrest of Oscar Wilde at the Cadogan Hotel 1.   カドガンホテルでのオスカー・ワイルド逮捕劇
2.Death in Leamington 2.   レミントンの女の死
3.Exeter 3.   エクセター
4.A Subaltern’s Love-song 4.   少尉の恋歌