Home 1600〜1739
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リチャード・グラヴァー (Richard Glover, 1712-85)

イングランドの詩人。ロンドンに生まれる。Leonidas (9巻, 1737)や、死後出版されたThe Athenaid (30巻, 1788)などの大作叙事詩を残しているグラヴァーのもう一つの顔は国会議員であり、1739年にLondon, or the Progress of Commerceを出版して、時の宰相ロバート・ウォルポール(Robert Walpole)の対スペイン平和外交に反対する国民感情を煽った。ウォルポールが同年10月、ウィリアム・ピット(William Pitt)率いる野党とロンドン商人たちの世論に押されて不承不承に対スペイン宣戦を布告するや否や(いわゆる'The War of Jenkins'Ear')、11月22日、エドワード・ヴァーノン(Edward Vernon)提督 (1684-1757) 率いる英国艦隊はスペインのアメリカ植民地主要都市であったポルトベロ(Portobelo)を奪取した。グラヴァーはこの成功を祝してバラッド詩 "Admiral Hosier's Ghost"(1739;トマス・パースィのReliquesに収録)を作ったのであるが、彼の巧妙なところは、ヴァーノン提督を主人公にするのではなくて、その時を遡る十数年前に同じ海上で悲劇的死を遂げた別の提督をクローズアップした点にある。 1726年4月、フランシス・ホージャー(Francis Hosier)提督(1673-1727)の艦隊がスペイン艦隊を封鎖し、抵抗するものは捕獲してイギリスに曳航せよという命令のもと、スペイン領西インド諸島に派遣された。交戦してはならず、ただ威嚇するだけという状態で無為に時を過ごすうちに、4,000人の艦隊員のほとんどが熱病に倒れ、戦艦は破損し、敵の嘲笑を受け、遂にはホージャー自身も失意のうちに命を落したのである。

 

詩人であると同時に政治家としても高名であった者がバラッド詩を書いたという点で、18世紀前半におけるバラッドの地位向上に大いに貢献するとともに、19世紀においても大英帝国の国威高揚に貢献して大変な人気を博し、テニスン(Alfred Tennyson)の"The Charge of the Light Brigade"(1854)が生まれる一因ともなった。(M. Y.)

原詩(英詩)
1.Admiral Hosier's Ghost